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2022-01-28

Twitter日誌:同じ流れを繰り返してパブロフの犬になる

 シリーズにするほど継続して書くことはない気がするが、とりあえず「このツールの使用について」という意味でTwitter日誌と題しておく。

 最近ツイートをすることによる効果を実感したことがあったので書き留めておく。いわゆるライフハックである。

 

 突然だが、世の中には理不尽な出来事や無神経な言動が溢れており、それらを見聞きしたり実際に体験したりすると非常に気分が悪くなる。そして世の中に溢れているので遭遇する機会が大変多い。自分に全く関係のないことならばなるべく見ないようにして回避するという手もあるが、残念ながら自分自身に直接降り掛かったり自分の好きな対象が災難に見舞われたりすることはしばしばあるので、どうしても避けられないことである。解釈の力で影響を抑えるにも限度がある。

 そんな時どうしたら良いかとずっと考えていたが、去年思い至ったひとつの解決策が「仔パンダの動画を見る」ということだ。上野動物園のシャオシャオとレイレイの動画は毎週配信されているしアドベンチャーワールドの楓浜の方はなんと毎日更新されている。パンダって本当かわいい。動きに合理性が全然感じられないのが良い。規範意識や良識で頭がいっぱいの時には脳味噌をだいぶ柔らかくしてくれる感じがする。(関連:自分の機嫌は仔パンダ動画で取る - Noratetsu's Room(のらてつ研究所)

 とはいえ、出くわした理不尽で生じたネガティブな影響というのが、「心が深く傷ついた」といったふうに自分自身に直接関わるダメージだと、さすがにただかわいい動画を見ただけでは癒えないかもしれない。しかし、自分の良識に合わないものを目撃して湧いた「何だこいつは!」というような怒りならば、パンダを眺めることによってある程度抑えられる実感がある。

 

 さて、世の中の理不尽の話も仔パンダの話も本題ではないので脇に置くとして、ここで問題になるのは「気分が悪くなったら仔パンダ動画を見る」という流れをすんなり実践できないことである。気分が悪くなった時というのは、憤怒や悲嘆に支配されて全然冷静ではないので、仔パンダのことなんか思い出せないのだ。

 自分の脳波を常にモニタリングして負の感情が湧いた時に何かを知らせてくれる仕組みみたいなものがあれば苦労はないが、そういうものはまだ普通に使える技術ではないので、「気分の悪さ」自体をトリガーにはできない。まあそもそもの話、脳波をトリガーにして機械的に「仔パンダ動画を見ましょう」と知らせてこられたとしたら、それを素直に受け入れられる自信はない。

 それならば、自分の気分とは関係なく定期的に知らせてくれたら良いだろうか。それで良いかもしれないし、それだと壁に貼った宣言の類が風景と化すのと同様に意識を向ける気をなくすかもしれない。個々の性質に依るところが大きいだろうと思うので一概にこうとは言えないが、とりあえず私は風景化するタイプなので、定期的に知らせる方法はあまり向いていないように思われる。

 知らせの存在感が薄くなるということの他に、知らせから受ける印象の問題もある。気分が良い時も仔パンダ動画を見れば一層癒やされるのだし、いつでも視聴するにやぶさかではないのだが、一方「仔パンダ動画を見ましょう」という提案は気分が悪くない時にはされたくない。仔パンダ動画自体は自分の気分と関係がないが、「仔パンダ動画を見ましょう」の提案は「もし気分が悪いのなら」が前提にある。その前提自体がネガティブなオーラを纏っているので、タイムリーでない提案は余計である。単なる条件分岐としては片付けがたい(一度二度なら良いのだが、繰り返されるとストレスになる)。

 

 トリガーが気分である以上自動的に知らせてもらう手段はなく、また定期的に提案してくるのもいまひとつとなると、結局自分の力で自然と思い出せるようになるのが良いのではないか、という結論に至った。学習を十分な回数繰り返せばいずれはそうなると思うが、定着するまでの間はどうしたら良いだろうか。

 頭で考えてみてもこれだという方法を見出だせなかったのだが、やがてTwitterがそれに役立つということに気がついた。

 習慣の定着を目論んだわけではなかったが、まず「気分が悪い」という旨をツイートし、その後に「仔パンダ動画を見よう」とか「仔パンダ動画を見れば良いんだった」とかいったことをツイートするというのを偶々数回繰り返した。そうすると、この時点ではまだ「気分が悪い」から「仔パンダ動画を見る」は直通ではないのだが、「『気分が悪い』とツイートする」と「『仔パンダ動画を見る』とツイートする」の間には回路ができたらしい。「気分が悪い」という内容をツイートした時点で、何かその後につぶやくことがあったような気がしてくる。そして「そうだ、仔パンダ動画の話だ」と思い出し、「仔パンダ動画を見よう」とツイートする。仔パンダ動画のことが思い出されたわけなので、そうだそうだと見に行く。

 そうなると、そのうち「気分が悪い」とツイートしようとした時点で「このツイートの後は『仔パンダ動画を見よう』だな」ということを無意識にイメージするようになるだろう。必然的に、ツイートの中身である「仔パンダ動画を見る」が「『気分が悪い』とツイートする」と結びついていく。そもそも「気分が悪い」という状態と「『気分が悪い』とツイートする」が結びついているからツイートしようとするわけだが、いずれツイートの過程をショートカットして「気分が悪い」と「仔パンダ動画を見る」が直結するかもしれない。(現時点でかなり近づいている実感があるが、まだ直結はできていない。)

 まとめるとつまり、

①気分が悪くなる
②「気分が悪い」とツイートする
③「仔パンダ動画を見よう」とツイートする
④仔パンダ動画を見る

という四つの工程があり、本当は①と④が直通であってほしいのだが、①と④はそのままでは遠すぎるので結びつきにくいというのが課題である。ここで①と②、③と④の間は最初から強く結びついているものとする。この時、②と③の間を繋げればひとつの流れとして繋げることができ、この場合は「ツイートする」という共通項が結びつきに必然性を持たせる要素になる。そして②と③が自分の脳内で当然の流れになれば、この回路を繰り返すことで①から④までの工程が少しずつショートカットされ、いずれ①と④が直結するであろうということである。

 結びつけたいものの間にある工程は②と③の役目を果たすものであれば何でも良いのだが、②と③の間が繋がるにはそれなりの強さが必要に思われる。その強さを持ち得る選択肢のひとつとしてTwitterがあるということに今回気がついたわけである。Twitterでツイートするということには「人に読んでもらう」という意識が伴い、話の流れに欠けがあると気になるため、その意識が「この後何か言うんだったような」という違和感となって手を伸ばし結びつきを作ってくれるように感じている。


(余談だが、ストレス対策としては、ストレスを感じた時に実行すると気持ちを回復できることをまとめると便利である(「コーピング」で検索推奨)。自分自身のことなのに、自分の気分を良くするものがなんなのか自分では思い出しにくい。余裕がある時に予め自分に訊いておくのがいざ困った時に対処できるためのポイントなのだろう。私は今のところ仔パンダ動画一択という感じで、昔作ったコーピングリストを参照することはほとんどないが、もっとストレスが増えたら話は変わってくるかもしれない。)