2022-01-21

アウトライナー日誌:バレットを「┠」にしたらバレット感に邪魔されなくなった

 タイトルで全てを言ってしまっているのでこれで終わりでも良いかなと思っているところだが、さすがにもうちょっと何かは言えるのではないかと思うので少し考えてみることにする。

 

 具体的にどういうことかと言うと、私のブラウザ上でのアウトライナーの表示をブラウザの拡張機能を使ったCSSの上書きによってちょっと変えて、「・」を「┠」に変えてみたという話である。

 実物を貼ると、これが……

 こうじゃ。


 元のスタイルを久々に見たら記憶以上に変えてしまっており自分でちょっと仰け反ったが、とりあえずこんな感じに書き換えている。リンクとか見出しとか変更要素は様々あるが、今注目してもらいたいのはバレットである。

 バレットがある――つまり箇条書きであることを強調したスタイルというのは、箇条書きが適している感じではないものを書き込む時に枷になる場合があるということを以前にも書いた(アウトライナーの使い方ド下手問題①~「きちんとしている感」との格闘~)。

 

 よって、アウトライナーに何かを書くならば箇条書きの形で書くことになるのだが、ツールの形式が箇条書きだと、「箇条書きにする」という意識が自分の中で強く働く実感がある。

 つまり、「その要素を、そこに置く」という意識が生まれるのである。

 

 こう感じるかどうかは人それぞれだと思うが、私は感じるので、「これはここに置くのだ!!!」という思いが生じようのない情報を書き込むことを躊躇ってしまう。バレットは私を邪魔するためにあるのではないのに、私がバレットの纏うオーラに近寄れないがゆえに勝手に萎縮してしまうのだ。

 一方で、じゃあすっかり非表示にしてしまえばいいかというとそうでもない。バレットをなくしてしまうと、今度は前後の行と地続きになり過ぎる。全体が一体のものであるかのような気がして、全然無関係のものを並べてしまうと非常にカオスに感じる。テキストエディタにベタ打ちしてみると納得してもらえるのではないかと思うが、行頭にバレットがない状態でそれぞれ異なる文脈の文言を行間空けずに並べてしまうと非常に読みにくい。並んでいるのに全然関係がない、ということに自分の脳がついていけていない感じがある。

 例えばこんな感じ(例示のためにScrapboxに書いた全く適当なものである)。

 書いてすぐはいいが、後から見直すとなるとかなり辛い。そこにバレットをつけると……

 なんということでしょう、それぞれを別のものとして認識できるではありませんか。行と行の間の空間は何も変わっていないのに、明らかに行の間で分断されていると感じる(少なくとも私はそう)。それでも、二つの行の間に実際関係があるならば、それらを関係があるものとして認識することも普通にできる。この場合では二行目と三行目に関係がある。

 アウトライナーを使いたいと思うということは、まず前提として「複数の独立した項目を同時に扱いたい」という要求があるだろう。項目同士が関係するかもしれないししないかもしれないが、とりあえず自分の視界から外れてしまうと忘却の危険があって困るので、つまり脳の機能上の制約を理由としてそれらを限られた範囲に同居させる必要がある。アウトライナーを使っている間、アウトライナーは私の視界そのものである。

 もちろん項目間の関係を見出すためという積極的な理由もあり得るし、アウトライナーは非常に自由なツールなので様々な理由で情報を扱うことになるだろうが、とりあえずは「項目」という概念がそこにあり、「項目」として捉えるということは何かしらの意味で「他の情報から独立している」という状態にあると言えるだろう。よって基本的には「隣の記述とは直接関係ないかもしれない」ということを感じる余地がある見た目になっていてほしい。つまり何らかの記号が冒頭にあってほしい(行間に線を引いたりすることも項目を分ける見た目としてあり得る選択だが、ここではそこまで分断されてほしいわけではない)。

 

 ということで色々考えて私の中で決着したのが「┠」なのである。罫線の記号はディレクトリ構造を表現する時に当たり前に使われるので、見た目としては別に真新しいものではない。階層構造の中にある項目を示す記号としては普通の選択のように思える。

 見返しに戻ってもらうのも手間だと思うので上で貼ったスクリーンショットをもう一度貼っておこう。



 色をかなり薄めにしていることもあるが、「・」よりだいぶ存在感が薄れる。しかし「┠」の枝分かれしている見た目によって、各行は独立した別の行に思える。前後の行との文脈のズレに混乱するということは今のところない。

 更に「┠」は縦の線が目立っていて、Dynalist内で項目のレベルを可視化している縦ラインとほとんど一体化して見えるので、空行が続いても気にならない。「├」ではなく「┠」を使っているのはそれを目的に縦の線を強めたいからである。いや、控えめとはいえ右向きに出っ張りがあるので、その先に何もないままになっていると気になる人もいるかもしれないが、私は気にせずに済んでいる。テキストエディタに何かを書く時に適当に空行をダダダダッと作るように、アウトライナー上でも適当な空行を作れるようになった。

 なお、子項目を畳んでいるときは「▶」にしている。「┠」と「▶」の間には必然的な対応関係は何もないが、畳んでいることが判って自分が見た目に納得できる形が自分の中では「▶」かなと思ったのでそうしている。視認性の点から記号の見た目の密度が違っていて欲しいので、黒の面積が多いことは前提条件として選んだ。

 だからみんなもそうしましょうという話をしたいのではないが、「アウトライナーを使いにくい」と感じているとして、その理由がもし「バレットの存在感が強すぎる」ということにあるのだとしたら、それはアウトライナーそのものの機能との相性の悪さではないわけなので、バレットを変えてしまえばそれだけで万事解決となる可能性もある。そしてブラウザで動くサービスなら、開発者にバレットの選択肢を増やすことを求めなくとも自分で見た目を変えることができる。店で買ってきた既製のノートや手帳に手を加えて自分好みの表紙や紙面にアレンジするように、自分が見ているブラウザに手を加えて自分専用の画面にしてしまえばよい。

 今すぐにそれを実行するスキルがないとしても、そういう選択肢があり得るのだということが頭にあればデジタルツールに対する考え方が少し柔軟になるのではないかと思う。ツールそのものを自作するなんてことは到底できなくとも、単に見た目の問題ならば誰かがいつか自分に合う形を作ってくれるのを辛抱強く待っている必要はないのである。

(一応ヒントはScrapboxに書いておきましたので必要を感じる方はご参照ください。)