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2021-12-29

2021年の振り返り

 2021年ももう終わりということで、今年一年の振り返りをしたいと思います。

 普段は常体で書いていますがなんとなく今回は敬体で。

 

 「のらてつ」という名前で活動している範囲および「のらてつ」として言及したことのある話題に限って語りますが、それだけでも今年は色々なことが起きました。

 と言っても誰かと一緒に何かを成したというようなことは別に何もないのですが、自分はどこにいればいいのか、どこに向かって生きていけばいいのかということを掴む助けになる変化が様々あったように思います。

 

 まず「のらてつ」という名前で活動するということを本格化させたことがその一歩目です。

 この名前自体は2019年のうちに作っており、noteScrapbox(のらてつ研究所)にいくらか書くことをしていましたが、到底自分らしくやれてはいませんでした。世の中どころか自分自身にとってさえ、己のひっそりとした活動がなんの意味も成していなかったのです。自分の中で一番まともにできそうな「書く」という行為によって何かしらのことを成したいという気持ちはありましたが、自分の傷ついた自尊心が焦燥を生むばかりで少しも前に進めはしませんでした。

 今年に入って投稿の拠点をnoteからこのブログに移し、どうせ誰にも見つからないんだから好きなように書いてしまえと思ってちょっとした連載を始めました(アウトライナーの使い方ド下手問題)。連載と言っても単にひとつのテーマで複数の記事を書いたというだけですが、記事ひとつひとつその時点で言いたいことを全部言おうと思って「常識的な構成」的なものは無視して詰め込みました。それ以前は「読みやすいように適度な長さに収めよう」とか「主題と結論がわかりやすいようにシンプルに書こう」とか色々考えて書こうとしていたのですが、そうやったところで自分固有の価値のある文章が生まれることはなく努力は徒労に終わり、どうするべきか一年近く悩んだ後、先んじて自分に枷をつけることはせずにとりあえず自由に書くことにしたのです。

 そしてアウトライナーというキーワードからTak.さん(@takwordpiece)に見つけていただき、ほとんど透明だった「のらてつ」という人間がそれ以降謂わば実体化しました。倉下忠憲さんのうちあわせCastで取り上げていただいたのは大きな転換点になったと思います。

 それまで知的生産界隈(『知的生産の技術』で梅棹忠夫が示した種類の世界に対して興味を抱いている層)の方々のことは一方的に見ているだけで、誰とも繋がりを持ってはいませんでしたが、TwitterやScrapboxでやり取りを交わす機会を得られるようになり大変ありがたく思っています。

 

 前の記事で書いたことですが、読まれることだけでなく書くことそのものの意味も大きく変わりました。読んで価値のある記事にしないといけないという呪縛から解かれ、書きたいことを書けるだけ書いてしまえというスタンスに変わったことにより、自分という人間に起こっていることを描写する解像度が随分上がりました。もし読者にとって有用な内容にしようと思ったならばほとんど省略されるであろう部分に言葉を費やし、言葉を費やすことによってより核心に迫る像を見出すことができるようになっていったように思います。

 書くことそのものが自分にとって意味を持つならば、書いたものがたとえ読まれなくとも人生が豊かになるという実感を得ました(逆に読んでいただけるようになりましたが)。自分の文章の価値を読者の存在に依存していると、思うように反応を得られない間じゅう、読んでもらえないことを嘆いて暮らすことになってしまいます。「自己満足で書け」とだけ言うと少し大雑把かと思いますが、読んでもらった暁には読者におっと思わせるように努めながらも、書くたびに書くこと自体が自分に大きな影響をもたらすようにできたら良いのではと感じています。

 

 この一年でできるようになったこともあります。例えばGitを使えるようになりました。と言っても理解したのは自分に必要な機能だけで、ブランチの作成もプルリクエストも実践したことはありませんが、Gitの前に立ちはだかる「なんか難しそう、理解するの大変そう」という壁は壊すことができました。コマンドで操作したこともまだないですが、GUIを通してGitというシステムが何をしているのかが解ったことにより、必要に迫られればなんとかできるであろうという気がしています。

 今年の一番大きな収穫はCSSだろうと思います。ScrapboxのUserCSSをいじるところからスタートしたわけですが、最初は「フォントサイズを変える」「色を変える」「他の人のコードをそのままコピペする」といったことしかできず、少しずつ試行錯誤の幅が広がってもしばらくはクラスもプロパティもよくわからないでいました。適当に指定して見た目は思い通りになったけど結局何がどうなっているのかわからない、ということも多々ありました。

 さすがに行きあたりばったりのカスタマイズでは限界を感じ、HTMLとは何か、CSSとは何かということを一から勉強することにしました。それが九月半ば頃のことだったかと思いますが、そこから二ヶ月半ほど取り組んで今は大体思い通りのスタイルを実装できるようになりました。普段ScrapboxやDynalistなど多くのwebアプリケーションを利用していますが、近頃はそれらの見た目を自分に合うように変え、更にマウスオーバー時の挙動を設定することで機能を付加したりしています。

 CSSを習得したことは、デジタルツールを使うということ自体に私の中で革命を起こしました。自分がツールの仕様に適応するのではなく、ツールの方を私に合わせるのが当たり前になりました。そしてツールに対する不満の多くは見た目の問題であり、機能そのものではなかったということもわかりました。CSSを上書きすることが可能ならば自分で解決できるものが相当に多いのです。ツールの機能としてユーザーによるCSSの上書きが可能になっているのは私が使っているwebアプリケーションの中ではScrapboxだけですが、ブラウザ上で利用するものならばブラウザの拡張機能をインストールすることによって自分の画面でのスタイルを変えることができます(検索すればいくつか見つかります)。ローカルのアプリケーションでは、例えばObsidianにCSSをカスタムする機能がついています。用意されたいくつかのテーマから選択するに留まらず、余白の1pxに至るまで自分好みに設定できることは、デジタルツールの使用感を大きく向上させることに繋がります。

 JavaScriptの勉強もゆっくりとスタートしました。まだ自分でコードを書ける域には全然至っていませんが、全く意味不明の文字列に見えていたものが、ここはオブジェクトでこれがキーで関数の引数がこうだからこの関数でここがそうなるんだなという程度のことはなんとなくわかるようになりました。勉強は始まったばかりですが、来年のうちには小さいアプリケーションを作れるようになるのではないかと少しわくわくしています。

 

 一方でやめてしまったことや終わってしまったこともあります。普段語っていることとは関係がないことであり、興味深く思われる内容とも思えないので具体的なことは書きませんが、昔は楽しくやっていたはずのことや毎日悩みの種になっていたことなどを手放し、幾分身軽になりました。自分を売り込むことができる可能性があると思うとついしがみついてしまったりしますが、それが自分を苦しめていては元も子もありません。多分、私はそこにいるべきではなかったのです。

 また、その他にも日常生活や人間関係上の問題として長らく苛まれていたことが解消し、考えるべきことを考えられる余裕が生まれたように思います。物事を俯瞰するには最低限の精神的ゆとりが必要であるということを身を以て感じているところです。

 そうして今はネット上の居場所をここに見出しました。今のところ違和感はなく、ここにいていいような気持ちでいます。まだ何かを成したわけではありませんが、いずれここで何かをできたらと思っています(現時点では何も予定はありません)。

 

 この一年、各種の投稿をお読みくださった皆様、ブログやnoteやTwitterで言及してくださった方々、どうもありがとうございました。

 今後も色々書いて生きていきたいと思っています。来年もどうぞよろしくお願い致します。