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2024-02-24

『すべてはノートからはじまる』の技法に自分なりの表現を当てはめてみた

 先日、3記事にわたって「名づけ」について考えた。

 書きながら、倉下忠憲著『すべてはノートからはじまる あなたの人生をひらく記録術』にて、本の中で提案されている技法のうちいくつかに「自分で名前をつけてみてください」とあったのを思い出した。

 恥ずかしながら、最初に読んだ時は真剣に取り組まないまま次の本を読むのに移ってしまって結局実践していなかったので、今更ながらちゃんと考えてみようと思った。

 でも当該の四つだけやってもつまらないので、全技法に自分なりの表現を与えることにした。

 なお「○○法」みたいな名前を捻り出しても明日以降の私が覚えていられるとは到底思えなかったので、「名づけ」らしくはないが基本的に「~~のために……する」という一文で表現することにした。目的と動詞をセットにすれば時間が経っても「なんだっけこれ」にはならないだろう。繰り返し視界に入れて、いい加減定着したら単語の与え時だと思う。

断り書き

 本の内容のネタバレ感がなくもないですが、しかしここに現れていない部分にこそ超大事なことが様々含まれているわけなので、まだお読みでない方は是非お買い求めになることをおすすめします。

 また、公開してはいますがあくまで自分用かつ実用のための言い換えなので、やや飛躍的な意訳が含まれていることがあります。要約としての精度は保証しません。

 


 

実践

  • 技法01 ノート作りからはじめる

    • →始めたい物事のための場=ノートをまず用意する
  • 技法02 フランクリンの功罪表

    • →事物の両面を比較検討するための表を作ってみる(フランクリンの功罪表)
  • 技法03 フリーライティング

    • →状況を整理可能にするためにまず思い浮かぶままに書き出してみる(フリーライティング)
  • 技法04 物リマインダー

    • →物事についてのノートの存在でその物事をリマインドする(物リマインダー)
  • 技法05 決意リマインダー

    • →決意の忘却を防ぐために決意を書き出してリマインドする
  • 技法06 プランB

    • →計画の失敗に備えて次善の策をノートで練っておく
  • 技法07 行動記録

    • →有効な計画作りのために自分の行動を仔細に記録してみる
  • 技法08 目標の読み返し

    • →日々を精力的なものにするために時折自分の目標を読み返す
  • 技法09 やる気のリスクヘッジ

    • →やる気がある時こそむしろ挫折に備えたノートを作る
  • 技法10 タスクリストで見通しを得る

    • →見通しを得るためにタスクリストを作る
  • 技法11 タスクリストでコントロール感を得る

    • →コントロール感を得るためにタスクリストで状況を可視化する
  • 技法12 ハビットトラッカーで進捗感を得る

    • →前進を可視化するためにハビットトラッカーを使ってみる
  • 技法13 ログをデザインして進捗感を生む

    • →前進が可視化されるように自分でログをデザインする
  • 技法14 ノートをフィードバック発生装置として使う

    • →フィードバックに不可欠な「他者」をノートに担わせる
  • 技法15 ロギング仕事術

    • →頭の整理のために誰かに逐次報告するように記録を取っていく(ロギング仕事術)
  • 技法16 リストを閉じて有限化する

    • →コントロール感を失わないためにタスクリストを仮固定する(クローズドリスト)
  • 技法17 着想ノートに思いを書き留める

    • →「考える」ために「思う」の産物を絶えず書き留める
  • 技法18 ラジアル・マップで連想を引き出す

    • →「思い」の連鎖を生むために放射状に紙面を作ってみる(マインドマップなど)
  • 技法19 マンダラートで「思い」を押し出す

    • →穴埋め欲求を活かして「思い」を自然に捻り出す(マンダラートなど)
  • 技法20 書いたノートを別人として読み返す

    • →ノートを読み返して「考える」を発動させる
  • 技法21 情報を物質化し組み換えを試みる

    • →文脈の組み替えでアイデアを得られるように情報と文脈をノートで可視化する
  • 技法22 エラーとしての発想を楽しむ

    • →自分しか見ないノートで自分の空想的思いつきを楽しむ
  • 技法23 思いを並べ、それを処理する

    • →ノートに書いた情報を並べること、配置することで知的作業を進める
  • 技法24 書き写すことで発展させる

    • →文脈を変えて思考を発展させるために別の場所に書き写してみる
  • 技法25 疑問の質と量を上げていく

    • →思考を発展させるために自他の疑問に注目し疑問文を活用する
  • 技法26 ノートによって思考を変える

    • →「考える」を直観に取り込めるようにノートを通じて思考を訓練する
  • 技法27 考えるための静かな場所を持つ

    • →他者に阻害されずに静かに思考するためにノートを使う
  • 技法28 あたかも「自分のノート」であるかのように本を読む

    • →著者を信頼し意図を素直に汲み取ろうと思って本を読む
  • 技法29 知的なトレーニングとして著者の思考を追いかける

    • →「思う」頼みの読書を抜け出し「考える」読書をするために本は注意深く読む
  • 技法30 事前予想を書く

    • →自分の先入観と向き合うために本の内容の予想を事前にノートに書いておく
  • 技法31 他の人に読んだ内容を説明してみる

    • →自分の「わかったつもり」と向き合うために本の内容を他の人に説明してみる
  • 技法32 コーネルメソッドで本の内容をまとめる

    • →精緻な読み込みのために本の内容を限られた紙面にまとめてみる(コーネルメソッドなど)
  • 技法33 ねぎま式で自分の感想を串刺す

    • →読書中に思いつくことが十分多いなら引用と自分の感想を交互に書き留めてみる(ねぎま式)
  • 技法34 無題

    • →読書を継続的に行うために自分は読書に何を求めているのかを書き出す
  • 技法35 無題

    • →本を買う時に欲しい本を思い出せるようにリストを作る
  • 技法36 無題

    • →本を手にしたら今読みたいもののリストを作る
  • 技法37 無題

    • →タスクリストのフィードバックで自分の生活を実証実験する
  • 技法38 考えを中断し実行に移す

    • →思考が不完全でも行動に移す
  • 技法39 中断しても考えを再開し続けていく

    • →行動によって中断した思考はノートによって再開する
  • 技法40 身近なグループの共有ノートからはじめる

    • →「読者のことを考える」実践として仲間との共有ノートからはじめる
  • 技法41 運用ルールは緩くする

    • →共有ノートを継続するために運用ルールは緩くする
  • 技法42 ボトムアップは自由に書けるようにする

    • →現場からの不定型な情報を捕捉するために自由に書き込める環境を作る
  • 技法43 個人の体験を共有するノートを作る

    • →共有ノートに各々の体験を集めて全員の知見にする(失敗とその対処法など)
  • 技法44 技術と工夫を蓄える「秘伝のタレ」を作る

    • →共有ノートに各々の技術と工夫を記録して継承可能にする
  • 技法45 質問とその答えをノートに書き集める

    • →共有ノートに質問とその答えを書くことで暗黙知を形式知に変換する
  • 技法46 「自分のノート」をウェブに置く

    • →ブログを公開して「読者のことを考える」ためのフィードバックを得る
  • 技法47 「自分のノート」と「自分だけのノート」を持つ

    • →他者を気にして自由を失わないために「自分だけのノート」も持っておく
  • 技法48 勉強するために本を書く

    • →体系的理解のために自ら本の執筆に挑んでみる
  • 技法49 ビジョンを推敲する

    • →己の予想を超越した結果を未来に呼び込むためにビジョンを考え直し続ける

 

感想

 やってみて思ったのは、「自分で名前をつけてみてください」の四つがむしろ他より難しかったことだ。というのは、単に「目的+動詞」という型で要約しにくい内容だったからだが、もしかすると「目的」にパンチがないと「技法」として咀嚼しづらいのかもしれない。いや、そんなことを思ったのは私だけかもしれない。

 自分で表現を与える(そしてそれをこうして公開する)ということによって、本書に対する理解が著しく深まった。読んでいって「よし要約しよう」と思っても「あれ?」となってまた読み返すということが頻発して、まさにこの現象について技法31の項で語られているけれども、本当に実際に言葉にするというところまでしないとこの「あれ?」には気づかないのだ。

 また、今回これをやるにあたり再読したわけだが、本の中でどういう行いが奨励されていたかはおおよそ覚えていても、謂わば「魂」の部分というのか、著者がどういう思いでこの本を書いていたのかというメッセージの部分は思いの外あっさり忘れ去っていることにも気づく(この本に限らず本の再読ということをすれば必ず起こることだ)。「だいたいこういうことを訴えたい人である」というのは一度読めば把握できるしそんなに忘れることもないけれども、どれほど隅々まで行き届いた語りだったのかは忘れてしまうのである。

 

 この本では著者から「技法」としてポイントを示してもらっているわけだが、そのポイントに合わせて「目的+動詞」の形で要約したら非常に理解がクリアになったので、普段の読書でも勝手に「技法」として表現していったら良いだろうと思った。ちゃんと「技法01」「技法02」という風にナンバリングすることがミソだ。「目的+動詞」型の要約自体はこれまでも多々やってきたのだが、それが単に「その部分の要約」に過ぎず自分がなぞるべき技法として明確な形を成していなかったことに私の読書態度の問題がある。

 「本を読んだら行動に繋げろ」という教えはあっちこっちで見聞きしているし、「勝手に名づけて身体化する」というのはやっている人は普通にやっていることに違いない。しかし私はそのための「型」がよくわかっていなかったので(ということに今気づいたので)、今回試したことを「型」として他の本でも活かしていきたいと思う。