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2023-03-10

NTA-DIY:前日譚③~Excelの拡張としてのデジタルDIY~

 スマホが身近になるよりも以前のことですが、その当時私は何かデータっぽいものを整理しようと思ったらExcelを使っていました。


 作ったファイルの多くは関数も必要としないもので、ただ「編集可能な表」が欲しかったのです。手書きの表では、後から行や列を追加したり入れ替えたりができませんから、そういう操作がいくらでも可能な表エディタとしてExcelを必要としていました。

 しかしExcelでの整理がうまくいっていたというわけではありません。続けさえすれば充実した「自分データベース」になるはずだとわかっていながら、続けるということが難しいのです。

 一言で言えば「飽きる」のですが、この「飽き」は「最善でない」という気分から生まれていました。データの形式としては問題ないのに、自分の手で打ち込み自分の目で見て使うツールとしては納得感がなかったのです。


 一方それ以外のツールを使うともっと不満に感じました。テキストの保存がメインのツールはデータとしての活用しにくさが気になりだし、逆にデータベースとして高機能であることが売りのサービスは、多機能すぎて面倒臭さのゲージがじりじりと高まっていきます。

 Excelに入力した状態のようにピシッとデータ化されていて、且つ自分に馴染むUIを備えている――そんなツールが現れることを願っていました。大変我儘な願いです。

 様々なアプリケーションを使ってきましたが、面白いと思うツールは数あれど、いずれも自分にぴたりとハマるものではありませんでした。「これこそ自分が求めていたものだ」と感じる人もいるだろうと思いながら、私自身がそうではないことを残念に思うことが続きました。


 Web技術を使ったノートテイキングアプリケーションの自作は、その不自由な心境を打ち破ってくれました。素人ですから技術的に実現可能なことに制限があるというのがネックですが、「必要かつ十分なデータ形式」「理想のUI」という二点を自力で模索する術を得たのは、自分の世界がちょっと変わるくらいの出来事です。

 プログラミングをする、あるいはアプリケーションを作る、ということを考えた時、実現したいと思うものは人それぞれ大きく異なるだろうと思います。私の場合は、JSONというデータ形式を使い、JavaScriptのDOMによってデータを自由に配置する、それがプログラミングへの関心の九割くらいを占めています。かつてExcelでやりたかったことを現実的なものにしたいという願望です。


 そしてデータベース的であってほしいところをデータベース的にする試みを重ねる中で、データベース的である必要のないものはそうでない形でよい、という素朴な納得を得ることにもなりました。「Excelみたいにピシッとした」という状態への憧れを解体し、無意味に自分を駆り立てて不満を生み出す根源を撃退したのだと言えるかもしれません。



このシリーズ記事の概要はこちら→ノートテイキングアプリDIY体験記